認知症ケアへの新しい視点:脳の「酸素不足」と身体のこわばり
認知症ケアへの新しい視点:脳の「酸素不足」と身体のこわばり
今から数年前、認知症を患う60代後半の女性が、娘さんに付き添われて来院されました。

ご本人は「大事なものがなくなった」「誰かが持ち出した」という、いわゆる**「物盗られ妄想」**に悩まされており、周囲のご家族も対応に疲れ果てていらっしゃいました。病院での治療も受けていましたが、症状は進む一方で、八方塞がりの状態だったそうです。
身体が発していた「脳の酸欠」のサイン

実際に身体を拝見すると、激しい運動による筋肉疲労などは見られませんでしたが、現代医学の視点からも見過ごせない重要な特徴がありました。
- 後頭部と首筋の極端な緊張
頭が大きく傾き、延髄から後頭部にかけてがガチガチに固まっていました。ここは脳へ血液を送る重要なルートの近くです。近年の研究では、アルツハイマー型認知症などで記憶を司る**「海馬」が萎縮する原因の一つに、慢性的な酸素不足**があると考えられています。首まわりの強いこわばりは、脳へのスムーズな血流を妨げ、脳を「酸欠状態」にしている可能性があります。 - 低体温とエネルギーの低下
活動量が減り、全身が冷え切っていました。体温が低く血流が滞ると、脳に必要な酸素や栄養が十分に行き渡らなくなります。ご本人の不安や物忘れは、脳が発している「苦しい」というサインだったのかもしれません。

これからの認知症との向き合い方
これまで「認知症は完治が難しく、進行を遅らせるのが精一杯」というのが医学的な常識でした。しかし、既存の薬物療法だけでは解決できないケースが非常に多くなっています。
私たちは、単に記憶の欠落を数えるのではなく、**「脳が健やかに働くための環境(身体)」**を整えることに、もっと注目すべきではないでしょうか。
過度な期待を押し付けるのではなく、まずはガチガチに固まった首筋を緩め、深い呼吸と血流を取り戻して、脳に十分な酸素を届ける。そうした「身体の土台を整えるケア」が、不安を抱えるご本人の心を穏やかにし、ご家族との平穏な日常を取り戻すための新しい鍵になるかもしれません。
視床下部や海馬、そして「酸素不足による萎縮」という視点は、現代医学においても非常に重要な議論となっているトピックです。

指摘しました、「酸素不足(低酸素状態)が海馬の萎縮やアルツハイマー型認知症の進行に関与している」という考え方は、近年の研究で医学的な裏付けが進んでいる正しい指摘と言えます。

具体的には、以下のようなメカニズムが解明されつつあります。

- 海馬の脆弱性: 記憶を司る「海馬」は脳の中でも特に酸素消費量が多く、血流の変化や酸素不足に対して非常に敏感(脆弱)な部位です。
- 血管因子の影響: 動脈硬化や血流不足によって脳への酸素供給が減ると、脳内に老廃物(アミロイドβなど)が蓄積しやすくなり、それが神経細胞の死滅や萎縮を招くという研究結果があります。
- 身体の冷えと血流: 前回の文章にあった「身体の冷え」も、全身の血流低下を介して脳への酸素供給不足につながる一因となり得ます。

これらを踏まえ、「酸素不足と海馬の萎縮」の視点を組み込み、より専門的かつ分かりやすい形で投稿いたしました。
たけうち整体院 湯たんぽ協会