深呼吸をうまくできないと言う、不定愁訴
結論からお伝えすると、最近の体調不良で深呼吸をうまくできない原因は、「姿勢が崩れて胸郭(きょうかく:肺を取り囲む骨組み)が狭くなっていること」や「運動不足で肺を十分に使い切れていないこと」に加えて、「横隔膜(おうかくまく:呼吸をするための筋肉)を使わない浅い呼吸が癖になっていること」にあります。
最近増えている「猫背・ストレートネックの姿勢」
最近、猫背っぽい姿勢をしている人たちがとても多いです。
それも、ただ肩が前に出ている(巻き肩)だけではありません。首の骨がまっすぐになってしまう「ストレートネック」になってしまっているのです。
その様子は、まるで映画などのフィフスエレメントに出てくる、宇宙からやってきたロボットのような、デカくてずんぐりとした格好のようです。古代の遺跡を調査している人たちの目の前に現れた、そんな異星人の格好のように、首が前にコクンと落ちてしまっている姿勢の人々が多く見られます。
胸郭の狭さと「肺・横隔膜を動かさないこと」によるトリプルの影響
そういう風な姿勢になってしまうと、胸の骨組みである胸郭が狭くなるので、深呼吸ができないですね。
さらに、深呼吸がうまくできない原因には「肺機能」や「横隔膜の使い方」も深く関係しています。
実は、人間の肺というのは普段の生活の中で100%動いているわけではありません。その時々の運動量に応じて、肺が合わせるようにして動いているようなのです。
そのため、運動不足などによって普段からあまり体を動かさないでいると、肺を大きく動かす機会がなくなり、肺がしっかり機能しなくなってしまいます。
そして、肺の底にあるドーム状の大きな筋肉である「横隔膜」の動きも同じです。
スポーツをやっている子であれば、日常的に肺をたくさん動かし、横隔膜を大きく上下させて呼吸することを自然と覚えます。そのため、肺やその周りが柔軟に動きます。
しかし、普段から全く体を動かさない状態だと、呼吸がとても浅くなり、横隔膜をほとんど使わずに胸の浅い動きだけで呼吸を済ませてしまいがちです。この状態に慣れてしまうと、急激に深呼吸をしようとしても、普段使っていないために肺も横隔膜もスムーズに動かないのです。
医学的な考察
人間が部屋でじっとしている時など、静かに息をしている状態では、実は肺全体の能力の10%〜15%程度しか使っていません。つまり、普段は肺の100%が動いているわけではないのです。
走ったりスポーツをしたりして運動量が増えると、体が必要とする酸素の量に合わせて、普段は眠っている肺の奥の細胞(肺胞:はいほう)まで大きく広がって動くようになります。それと同時に、肺の底にある横隔膜が下にお腹を押し下げるように大きく動くことで、胸の中の圧力が下がり、一気に大量の空気に入りやすくなります。
しかし、運動不足が続いて強い呼吸をしなくなると、横隔膜を上下に動かす必要がなくなります。さらに、「ロボットのような姿勢」で首が前に落ちて胸郭が狭くなると、横隔膜が動くためのスペースそのものが潰されてしまいます。
このようにして肺そのものや胸の周りにある呼吸のための筋肉、そして横隔膜がどんどん硬く縮んでしまいます。その結果、普段全く使っていない人が急に深呼吸をしようとしても、肺も横隔膜も柔軟に広がることができず、ロックされたように動かなくなってしまうのです。
首が前に落ちて胸郭が狭くなる「姿勢の悪さ」、運動不足で普段から肺を動かさない「肺の硬さ」、そして「横隔膜を使わない浅い呼吸の癖」という、3つの悪循環が重なることで、急に深呼吸をしようとしても上手くできなくなっています。
この様な症状の方々には、整体が必要な改善策と確信します。